天然ガス危機 2012 3 25

 ペルシャ湾で不測の事態が起きたとき、
つまり、ホルムズ海峡が封鎖されたとき、
多くの人は、石油危機を連想しますが、
実は、本当に危ないのは、天然ガスです。
 日本は、石油備蓄に関して言えば、
約200日分の備蓄がある上に、
仮にホルムズ海峡が封鎖されても、
他の地域から調達できます。
 しかし、天然ガスは、野球で言えば、
はっきり言って、「アウト」です。
つまり、電力会社が当てにしている天然ガスは、
当てにならないということです。
 日本の場合は、国土が海に囲まれていますので、
パイプラインで天然ガスを調達することはできません。
天然ガスを液化して船で運ぶことになります。
 「液化」は、言葉で書けば簡単なことですが、
高度な技術と巨大な設備が必要です。
 「週刊エコノミスト 2012 2/28」によれば、
「日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の22%は、
ホルムズ海峡を通過するカタールとアラブ首長国連邦から調達しており、
発電用の液化天然ガスに限ると、ホルムズ海峡依存度は33%となる。
 たとえば、浜岡原発を停止させた中部電力の場合、
全電力量に占めるLNG火力の比率が6割弱にまで高まっており、
そのLNGの6割、約800万トンはカタールから調達している。
 つまり、中部電力の電力の3分の1は、
ホルムズ海峡に命運を握られていることになる。
 問題は、このホルムズ海峡経由のLNG依存比率が、
今年さらに高まることが確実ということだ。
 国内に全54基ある原発は、この春、
残された3基が定期検査に入ると、
日本の原発稼動はゼロとなる。
 これをLNG火力で代替すると、
今年のLNGの輸入量は、前年以上に増加する」
 政府は、こうした厳しい現実を国民に伝えないから、
なかなか原発再稼動ができない現状にあります。
 産業界としては、政府の迷走を見て、
本社だけ日本に残して、工場は、すべて海外移転という動きも出てくるでしょう。
 週刊エコノミストには、
北米のシェールガス由来のLNGを
米国ガス価格指標に連動した価格で日本に導入すべしと書いてありますが、
長期的には、そうすべきでしょうが、短期的には間に合いません。
 何度も書きますが、
天然ガスを液化するには、
高度な技術と巨大な設備が必要です。
こうした巨額の設備投資には、何年もかかるでしょう。
中東危機、いやホルムズ海峡危機は待ってくれないということです。

























































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